子猫たちは、人慣れし、ワクチンなどを無事に完了すると、いよいよノースへ送られる。それは、馬の輸送に使う大きなトレーラーの中に、個別のケージを何個も設置した特別仕様のトレーラーである。それで26時間ほどかけて、南部から北部へ移動するのだ。
こんなに暑いところで生まれたのに、とても寒いところに行くんだな、部屋の中はきっと暖かいだろうけれど。私に出会ったことで、とても数奇な運命を背負うことになったんだ、この子たちは。
タビちゃんは、とても人見知りで怖がりで、何度、やはりタビちゃんだけは返してもらおうかと考えたかしれない。チビは、大丈夫だと思った。でも、預かってくれている人は、そんな私の思いを汲んでくれて、元気にしてると何度か写真を送ってくれた。大丈夫ですよ、と。私は絶大の信頼をおいていた。
出発の日、タビちゃんは、トレーラーの中でも揺れにくい良い場所に置いてもらいましたよ、と連絡がきた。そこから26時間。今頃はどのあたりかと時計ばかり見ていた。私も行ったことのない北部の街だけれど。